アメリカでの子育て…というとアメリカ人と日本人を比べがちです。でも現実、アメリカで子育てをするということはアメリカだけでなく様々な国の人種の子育てを目の当たりにすることになります。文化の違いで驚いたりすることはしょっちゅう。そして今回は私の忘れられない体験より、『イスラム国』の子育てについて執筆していきたいと思います。
アメリカの文化を知れば良いだけでない

アメリカに住むことになったからアメリカ人の子育てについて知っておこう。。と興味が湧くのは当然ですが、実際にはアメリカに住むことになったら、いろんな国の子育てや文化を知るべき機会が多くなります。
アメリカには世界中のほとんどの国からの移民がいると考えられています。
このサイトによると、アメリカの国別領事館・大使館の数は181ありますが、大使館のない国、違法入国者などの可能性も考えたら、ほぼ世界中の人がアメリカに住んでいると思っても言い過ぎではないと思います。
人数や地域の差は大きいとはいえ、どこの国の人に出会おうがおかしくないのがアメリカ。
私は日本人コミュニティーには属していないので(日本人の会とか日本人学校とか)アメリカで日本人の友人は1人しかいません。今まで仲良くなったことがあるのはイスラム系、インド、アメリカのファミリー。中国人も少し遊んだことがありますが、全て娘が仲良くなる相手によって流れでそうなっている感じです。
そして、娘の通う学校は公立校ですが、なんと37か国から生徒が集まっています。これもなかなか珍しいのではないかと思うんですが、これはつまりその辺のスーパーで出会う白人たちがみんなアメリカ人かと思っていると全然違ったりするということです。

なので『アメリカ人ってこうなんだな~』というのもそれアメリカ人じゃないよとなったりします。
逆に、欧米人にとってアジア人はどこの国の人か区別できないのと同じですね。
今はコロナウィルスが流行しているため、学校で『あなた中国人?』と聞かれた日本人の子供もいました。
そんな他民族国家であるアメリカにいる以上、友達の中にはいなくても公共の施設で出会う可能性のあるいろんな国の人たち。そして私の生活は子育てと仕事がほぼ全てなので、やっぱりいろんな子育てに注目してしまいます。
そして過去にイスラム国家の人たちと仲良くなる機会があり、その後なかなか強烈な体験をしたので、それについて今回はシェアしたいなと思います。
アメリカにいるイスラム人の数

ムスリム(イスラム教徒)の友達はいないし、関わることもないから関係ない…と思っている人もいるかもしれませんが、そんな人も無関心でいられなくなるかもしれないですよ。
それはアメリカに住むイスラム教の人の数がどんどん増えているからです。
CNNの記事によると、2017年に345万人だったイスラム教徒は2050年には809万人になるとみこまれています。
これはアメリカにいる人がイスラム教徒になっていくわけでなく、世界中のイスラム教徒が増え続けていること、アメリカの移民の数が増えているだけでなく他の宗教と比べて移民の年齢が若い事などから予想されています。
宗教に関して言えば、イスラム教徒が増えたとしてもアメリカではやはりキリスト教徒が圧倒的に多いです。ただ、イスラム教徒の割合は大きくなるということなので、そうするとやはりご近所さんになったり、学校で仲良くなったりする可能性もありますよね。
公園で怒鳴られた私の体験

そんなムスリムの家族と仲良くなったのは、初めて住んだアパートのご近所さんだったことでした。
そのアパートの近くに公園があり、そこで遊んでいたところ子供同士が仲良くなり、そこから相手のアパートによく遊びに行き仲良くなりました。相手の子供たちが娘と年齢の近い姉妹だったことで頻繁に遊ぶように。
その後、お互いに引っ越しをして距離ができたことなどから疎遠になり、私が直接イスラム教徒の人たちと関わることはそれ以来ありませんでした。
そしてこの日、私は日本人のお友達をある公園に誘いました。それは始めに住んでいたアパート近くにある公園で、幼い子供からティーンまで遊べるような遊具が揃い、砂場もある場所。
このあたりでは(それともアメリカ全体?)砂場のある公園が珍しいことや、遊具が比較的新しく充実していること、地面がクッションになっていて危なくないことなどから気に入っていました。
今回は娘が、お友達とスクーター(キックボード)をしたいというので、スクーターで遊べて遊具も豊富なここがピッタリと選んだのです。

友人より先に公園に着いた私と娘。週末でたくさんの子供たちがいました。娘はさっそくスクーターで遊び始めたのですが、数分すると娘を呼ぶ声が。以前に仲良くしていたイスラム教徒ファミリーの娘たちと久しぶりに出会ったのでした。
その子供たちは私の娘のことをとても気に入ってくれていたのですが、ちょっと強引でおてんばすぎるところがある子たちで娘は押され気味。でもとてもいい子たちで、私にもあいさつに来てくれました。
そして『グループで遊びに来てるんだよ』と言うと娘とともに行ってしまいました。
そして私たちのお友達が到着。
私が娘を探しに公園内をうろうろしていると、イスラム教徒たちのグループが休憩所に固まっているのを発見。そこにさっきの姉妹の母がいて、私を見かけると『久しぶりね!』と近づいてきました。しばらく話していると娘とお友達の姿が見えたため、私はイスラム教徒の母と別れ、私の娘たちは砂場で遊び始めました。
始めは娘たち二人だけだった砂場に他の子供たちが集まってきます。
そして砂場の道具をたくさん持っていた私たちのところに、道具を貸して、と近づいてきました。
娘がいいよ、というと一つ持っていき、隣で数人の子供たちと遊び始めます。
数分すると、さっきのイスラム姉妹が。『一緒にあそぼ!』といって娘たちに加わります。
すると隣で遊ぶ子供たちがどんどんやってきては道具を持っていくように。。
どうやら隣の子供グループはイスラム系グループの子供たちのようで、結局娘の砂場道具も他のおもちゃも全部『貸して!』と持っていきました。
『あとで返してね』と伝えておいた私。貸したままほったらかしで帰る子もいるからです。
結局イスラム系子供グループも私の娘たちも一緒になって遊び始めたのですが。。
その場にいた保護者は私と日本人の友達。イスラム系ママグループは相変わらず休憩所でお菓子をつまんで喋っています。目が届くところなので良いですが、帰るときまで誰も子供に近づいてきませんでした。
そしてイスラムグループが帰宅する時間。ママたちが子供たちに近づき、『帰るよ!』みたいなことを叫び続けると、子供たちは渋々帰ることに。ところが、
誰一人借りた道具を『ありがとう!』と言って返す子供がいない…。
それどころか、使いっぱなしで立ち去る子がほとんどでした。
少し『イラッ』としたところで、この日一番の最悪な出来事が起こるのです。
私の子供とお友達は遊具の方に行っていて、私が荷物を片付けようとベンチに近づいたとき、娘たちのスクーターがないのに気づきます。
アレ?と思ったら近くで娘たちのスクーターを勝手に乗る二人の女の子の姿がありました。その近くには父親なのかサングラスをかけた男性が立っています。
『まただ…イスラム系の子供たちかな』と思った私。他人のスクーターに乗る女の子たちに何も声をかけない男性は父親じゃないのかも、、と思いながら、私は近づいて声をかけました。
『それ、私たちのなんだけど…』
近づく私を見ていたはずの男性はやはり何も言わず。子供達も無言です。
そのため、私が二人のスクーターを取り上げたのですが、その瞬間…
『Don’t touch my kids !!!(俺の子供たちに触るな!)』と男性が突然叫んだのです。
一瞬何事かわからず、またこのシチュエーションで誰かが声を上げるとしたら、親が『ちゃんと返しなさい』とか『勝手に乗っちゃダメでしょ』と子供にいう声のはず。今まで母親が子供にそういう場面ばかり見てきたので、まさか自分に向けての言葉と気づかなかった私が立ち去ろうとすると、再び男性が叫びます。
『Don’t touch my kids!!!』
意味が分からず『え?』と思った次の瞬間に『私がスクーターを取り上げた時に子供に触ったのが気に入らない?』と気づきました。
彼の怒りどころがよくわからなかったのですが、とりあえずそれまでに奔放すぎるイスラム系子供グループにカチンときている私。さらに勝手にスクーターを持って行って遊んでいる子供、それを知りながら遊ばせる父、そしていきなり持ち主に激怒…
あまりに理不尽だ…とついにプチンと切れた私は怒鳴っていました。
『これは私たちのもの!あんたちゃんと子供たちに人のものを勝手に使うなと言いなさいよ』
すると男性は逆切れ。
ところが勝手に使いながらお礼も言わないという立場から、言い返す言葉はなかったようで、『子供に触るな!』ばかり繰り返し怒鳴ってきたのです。
何がそこまで気にくわないのかはわかりませんが、このシチュエーションで私に怒鳴るというのは明らかに相手を見下しています。
どうしても納得いかない私は
『あんたがちゃんと教育しなさいよ!!!』
と引き下がらずにらみ合いに…。
すると男性は私を脅そうとでもしたのか、私に近づき威嚇しようとしてきました。
そこで私が『じゃあ警察に電話するわ』というと『してみよろ!ここにいるから!!』と言いながら去っていったのです。
納得いかないまま私が怒って片付けをしていると、ベンチで一部始終を見ていたインド人男性が私を見て言ったのです。
『あの人は君が子供がスクーターに乗ってるのに取り上げたから怒ってるんだ』
え?そうなの。。っていうか、、、
そこじゃないんですよ。
そもそも他人のものを勝手に使わせている時点でおかしい。(聞いてくれたら貸すのはOKなのに)持ち主を見て『ごめんなさい』と子供に言わせることも自分が言うこともなければ、『返しなさい』とも言わない。
子供達も私に対して何も言わないし、普通に乗ろうとしている…
取り上げられても仕方なくないですか??
子供の一人は乗りかけてましたが、私は子供を押してもないし、子供は普通に下りていて転んだわけでもありません。行き過ぎたことをしたとは思えませんでした。
私は、『いきなり怒鳴るなんて失礼だ』とインド人に言いましたが『わかるけど…』と言いながらサングラスの男性のフォローをしようとしていました。
このサングラスの男性たちがイスラム系だった確証はありませんが、このことで過去の経験を思い出しました。。。
放置主義のイスラム国家

私が仲良くしていたシリア出身のイスラム教のファミリーと知り合ってから、シングルマザーの私を心配して母親が私にいろいろくれたり、『いつでも子供の面倒みるわよ』と言ってくれたり、何より子供同士が仲良くなったため、彼らのアパートに遊びに行くこともよくありました。
当時6歳と7歳の姉妹はすでにマニキュアやピアス、口紅をしたり、かなり自由に遊んでいました。
とにかく元気の良い二人が今度は私たちのところに遊びに来ることになったのですが。。
家で走り回り、家の中にあるものを持ち出してはどんどん開けていきます。友達なので別に良いですが、照明に傷がついたのは『おいっ』となりましたね。母はスマホを見ていて我関せず。
その後、車がないから送ってとイスラム母に頼まれた私は、彼女の娘の学校の説明会に乗せていきました。中に一緒に入ると、イスラム姉妹の一人が、娘の手を引っ張って走り出しました。すると少しして『バタン』と娘がこけたのです。
尋常じゃない泣き方をする娘を見ると、唇からかなり出血が…。
どうやって唇を切ったのか、床にぶつかったのか、それともイスラム娘のしていた指輪が当たってしまったのか…
すぐにERに向かいました。
結局、医師からは『放っておけば治りますから大丈夫です』
と言われてほっとしたのですが、それからはこの姉妹と遊ぶことが恐怖に…。
その時母親が、『あなたこのこと元夫に話す?言わない方がいいわよ!』と言ったり『元夫には公園で走ってて転んだって言って!』と言って来たんですね…。
それまでお世話になっていたし、子供は仲良くしていたので付き合ってきましたがこの言葉に引いた私はその後距離を置くようになり、結局お互い引っ越してそれきりになったのでした。
そして一度子供たちを連れて少し離れた公園に一緒に遊びに行ったことがあったのですが、その時にイスラム母がベンチで他のイスラムのママ友を見つけお茶会を始めたときに私に言ったのです。
『ムスリムの人たちは子供はほったらかしなのよね。私の国にいた時も、外で遊ばせてたわ。近所の人とか誰かがいつもみてくれるから。
でもアジア人っていつも子供にくっついてるわよね』
子供を見てるの当たり前でしょ…と思った私は少し嫌な気持ちになったのですが、よく考えると
私の常識が他人の常識であるはずがない
んです。
これは同じ日本人同士でもそうなのに文化が違う、人種が違うならなおさら。
私が正しい、相手が正しい、ではないんですね。
こうあるべき、というのは人の考え方なだけであって、子育てに正解はありません。
でもイスラム系の人たちが子供を奔放に育てている結果が私の体験したような『ケガ』や『マナーのない』子供たちになっているのも一つの事実。
サングラスのおじさんにいきなり怒鳴られたことで、このムスリムの子育てのことを思いだしたのでした。
この人はもしかしてムスリムでなかったかもしれません。でもアメリカ人、インド人、アジア人の子育てとは明らかに違うようでした。
いろんな人種とのかかわり方について

アメリカにいれば、こんな風に他人と関わらざるを得ない場面が出てきます。
でも『この人種は嫌』と意図的に避けることは私はしたくありません。
自分もアジア人だし、アジア人は欧米人から差別を受けることもあります。日本人はよく『日本が好きなセレブ』とか『親日家の外国人』を気にしますが(YouTubeで過去にたくさんチャンネルが立ち上がってましたよね…)でもいうほど日本人が評価されてると感じたこともなければ、実際はそんなに注目もされてません。
もしも自分が『あの人アジア人だから…』と避けられたら嫌だし、子供が差別を受けたら悲しいです。なのでこの国の人は避ける、ということはしません。私の場合は、自分から近づくよりも子供が仲良くなって親しくなる場合が多いので余計にそうなるのかもしれないですが…。
私の考え方は、いろんな考え方があることを受け入れながらも間違っていることは間違っていると意志表現するべき。
今回の公園の出来事のように、人のものを勝手に持って行って使うことがダメだったり、借りたものを返す、貸してもらってお礼を言う、くらいはどの国でもやるべきこと。
こういうのを野放しにして、怒鳴られても言われっぱなしで立ち去れば『アイツ、何にも言えないな弱いやつ』『女なんかちょろい』と思われるかもですよ。
実際に『何も言えないやつなのか度胸ないな』『典型的なアジア人ね、意見しないし』『アジア人は大人しい』と言われているのを過去に聞いた経験があります。
アメリカで子育てをするということ
アメリカ人と日本人は、アメリカ人の方がずっと子供のことを考えた制度があったり、他人の子供にも優しいですが考え方はほぼ同じだと思っています。でもアメリカにいる以上は他の人種の子育ての常識なども知っておくほうが良いし、いろんな考え方を受け入れておけば、世界のどこにいっても対応できる(心の準備もできる)のではないでしょうか。
私も自分の経験をもとに、『もうこの人種は付き合わない』と始めから拒絶するのでなく『こういう考え方のもとに行動する人が多いから』と理解したうえで他の人種の人たちと付き合っていければなぁと思っています。
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