【現実】アメリカでシングルマザーと日本でシングルマザーどっちがいいのか比較してみた

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日本では3組に1組、アメリカは2組に1組が離婚するとよく言われますが実際のデータは違っていて、離婚件数は日本もアメリカも減っています。特にアメリカでは離婚率は年々下がり続けています。そんなアメリカで離婚し、シングルマザーとなった私ですが、よく日本とアメリカどっちのシングルマザーがいいのかと考えることがあります。今回は日米のシングルマザーを比べてみたいと思います。

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離婚時の親権は日米に大きな違いがある

アメリカで離婚することになったとき、いろいろと調べて一番衝撃を受けたのはこれでした。

 
【親権は母親が持つのは当たり前じゃない】
 

今でこそ、私は共同親権は理解できますが、正直始めは『なんで母親って決まってないの』という思いがありました。

日本では『離婚したら母親が親権をもつもの』というのが一般常識だと思います。

 

 

こちらの法律事務所によると、親権については

 

これまで実際に子を監護してきたものを優先させるという考え方です。
裁判ではこれが重視されていると思われることが多いです。それ故、日本の家庭では母が主に子の監護をしているケースが多いため、親権者が母になる確率が高いのです。

 

決して母親が親権を取るもの、と決まっているわけではないんですね。ただ、主に母親が子育てをしている家庭が多いため、結果的に母親が親権を取るケースが多いようです。

 

一方、アメリカの法律は州ごとに違うとはいえ『共同親権(joint custody)』が一般的です。子供にとって一番の利益を考える、というのは日米同じですが、実際に日本は『親に任せる』というところも大きいのではないでしょうか。

 

日米の離婚で大きく違うなと感じたのは

 


日本…親同士の話し合いで決める

アメリカ…法律で決める

 

私の住むテキサス州は基本的に『共同親権』です。どちらかの親に子供を育てられない程の障がいがあるか、アル中、DVなどの理由がない限り共同親権が採用されるのが普通です。

 

 

この『共同親権』は2つあるのですが、それは

 
『Joint legal custody』『Joint physical custody』です。
 

 

『Joint legal custody』は、どちらかの親と住むが、決定権や権利は半々

『Joint physical custody』は両方の親と半々に暮らす

 

もし、親権を取るというイメージが『自分(母)と一緒に暮らす』ことであれば、アメリカでも『Joint legal custody』が多いし、母親が一緒に暮らすことの方が断然多いです。統計によると、2019年アメリカには1576万人のシングルマザー、323万人のシングルファーザーがいるそうです。

 
共同親権となった場合でもほとんどが『Joint legal custody』のため、一見すると日本と同じように『母親が親権を取っている』ようにみえます。でも実際は決定事項や権利はほとんど半分ずつあります。
 

 

私の場合もこの『Joint legal custody』です。

joint physical custodyは家庭の事情による夫婦の話し合いが多いのではないかと思います。でなければややこしいし、問題が起きやすいでしょうね。実際に私の知り合いのアメリカ人家庭は、親の事情により子供が週の半分ずつ父と母の家に住んでいました。

 

先進国の中で『Joint Custody』を採用していないのは日本だけなのだそうです。離婚当時は『絶対親権取りたい』と自分のことばかり考えていましたが、何年か経って思うのは『日本もJoint Custodyを採用したらいいのに…』ということです。

 

家庭の状況にもよりますが、父と母が子供に愛情がある限りは子供にとってそっちのが絶対にメリットがあります。

 

正直言うと、私たちはケンカが絶えなかったためjoint custodyは私的にはしんどいなと思うことが時々あります。。。でも明るく元気な娘を見ているとこれが一番だったと感じます。

 

実際に、調査でも、子供が両方の親とアクセスがある方が成績もよく、肉体的にも精神的にも健康であることがわかっているそうです。

 

養育費の支払い

この養育費も日米で大きな差があります。

 

 

日本…月収の約10%、支払わなくても強制力はほぼなし

アメリカ…月収の20%~30%(テキサス州の場合:子供の数による)、政府が強制的に徴収し、支払われる

日本は養育費の額が低すぎますね。。

ただし、児童手当月額1万円と児童扶養手当(シングルペアレント手当)月額42,000円(満額)が支払われるので、全てもらえればアメリカとそんなに大差ないかもしれません。

 

ちなみにアメリカでも州によって一人当たりの養育費が収入の15%~25%とかなり変わるので自分の住む州での基本的養育費を調べてみる必要があります。

 

また、この基準値意外に、他の要素でも変わってきます。例えば子供に障がいがある場合、他にも既に養育費を払っている子供がいる場合、デイケアなどの費用を既に払っている場合、などです。いろんな要素を考慮したうえで適正な養育費が決まります。

ちなみに、この養育費は失職したり給料や法律が変わると変更することも可能です。

 

 

アメリカの場合、養育費を支払う人が例えば父だった場合、父の勤め先の給料から天引きしてチャイルドサポートセンターから母の口座へ毎月振込がされるシステムです。

『払いたくない』とか『ちょっと日にちをずらしてほしい』とか通用せず、強制です

 

 
また、職がないなど支払い能力がない場合は支払いがされないか、養育費を計算しなおしたり支払いプランを変更します。自営などで、もしも支払いをわざと怠った場合は裁判所に証拠を持っていくと裁判所から支払いするよう通知がきます。これを無視すれば罰金かJailでしょうね。
 

 

養育費の支払い能力があるのに払わないと州の法律によっては、弁護士と相談し、
  • 所有する物件があれば抵当権がつけられる
  • 銀行口座の凍結
  • 免停
  • 罰金や利息が次回の養育費に加算される
  • 養育費をもらう側が雇った弁護士の費用を支払う
  • ケースによってはJail送り
 

などがあるのだそうです。本当に支払えなかった場合は、仕方ないですが、再び給料が発生したら過去の未払金は支払わなくてはいけなくなります。

 

ということでアメリカの養育費は

 
強制力が非常に強い
 

です。

 

子供のために徹底的に法律で両親双方の責任を問うところは、凄いなと思います。この養育費がきちんと支払われるおかげで、この件でもめることがないのでここはありがたいな、、と思います。

 

面会の権利

ここにも日米の大きな差があります。

 

日本…面会の権利を両親の話し合いで決め離婚協議書に書くか「面会交流調停」を申し立てると調停委員が間に入ってまとめてくれる(面会日数の決まりはない)

アメリカ…裁判所から命令が下される(両者が話し合いで決められない場合は裁判所から。日にちは決まっている)

 

日本では親権を持たない親(多くのケースが父)が面会の希望を伝え、相手が同意すればその内容に決定します。のちにもめないよう離婚協議書に書いて法的に記録として残すそうですが、内容はこちらの法律事務所によると

 

 

面会交流の頻度→例えば「月に2回」など
一回に何時間面会するか
面会交流の場所
宿泊の可否や頻度
旅行の可否
電話や手紙のやり取りをするかどうか
誕生日プレゼントなどを贈って良いか
運動会などのイベントに参加して良いのか
祖父母との面会を認めるかどうか
元夫婦のお互いの連絡方法
都合が悪くなったときの緊急連絡方法
子どもの受け渡し場所、方法
遠方に居住している場合などの交通費の負担

 

など、とても具体的で細かいようです。

気になったのは、父親(か養育権のない方)が面会する時間がとても少ないこと。月に1回が妥当、月に2回もあり(多い方?)しかもそれも泊りではなく1日だけ。

 

私は子供の事だけを考えたら、日本には今後変えるべき大きな課題があると思っています。

 

先の弁護士サイトにあったのですが

子どもは、離婚して父親(母親)と離れて住むようになると、だんだん父親のことを忘れていくものです。

そこには、「辛いから考えないようにしよう」という無意識の気持ちもありますし、父親に捨てられたという恨みの気持ちもあります。

また、今一緒に暮らしている母親への遠慮もします。

そこで、離婚後時間が経つと、子どもの方から「もう、パパとは会わない、会いたくない」と言い出します。

 

これって子供にとって最悪な状態じゃないでしょうか。

 

そして、こうなる理由は

 

日本では男性が育児に関わらなすぎる

 

からだと思います。

 

普段から育児に関わっていれば、子供は両方の親からの愛情を感じているはずなので、たまにしか会えなくても忘れたりしません。

しかも親子関係が薄いのに月に1回数時間しか会えなかったら別に会わなくていいや、となるのは当然ではないでしょうか。

 

アメリカの例として、私の例を挙げてみます。

話し合いで決められる状態ではなかった私たちを含め、ほとんどのケースには『Standard Possession Order』が離婚判決書の中に含まれているそうです。

 

このStandard Possession Orderは、面会権に関する取り決めで、面会日は毎週木曜午後6~8時と第一週、第三週、第五週の金曜午後6時から日曜午後6時までと決まっています。

 

これは話し合いで合意すれば変更することは可能で、面会日にこなくても法的な罰則はありません。話し合いで決まらない人たちのために、『これは命令です』と裁判所が基本的な日を決めるのです。

 

逆にこの面会権があるのに、子供を引き渡そうとしないのは問題です。子供を引き渡さない、面会していた子供を返さないなどで『誘拐』だと通報するケースもあるし、私の場合は離婚判決書の記載事項を守らないと罰金です。

 

『Every child needs the love of both parents』(すべての子供たちは両親それぞれからの愛情が必要です)という考えのもとに決められているようです。

ただ、子供が3歳以下やそれまで親子関係が薄いとか全く築けていなかったりすると子供にとっての利益とみなされず、面会権に影響するとのことです。

 

 

この両方の親との関係を築くのに

 


日本では月に10~20時間の面会時間に対して

アメリカでは月に約150時間の面会時間

なのです。

 

日本の場合『会わなくていいや』となるのは自然だし、父親に対して良い印象がない、存在感がない、となってしまうのも納得です。

 

子供の年齢にもよるかと思いますが、子供が小さいうちから両方の親とたくさん接していれば、『お父さんしかいない』『お母さんしかいない』という寂しさや後ろめたさは薄れると思います。

 

なので面会する側が暴力的とか子供に興味ないとかいう場合は別として、子供に面会できる時間をこれだけ作っているアメリカは本当に子供の利益を考えているなと感じます。

 

そうはいっても、私も離婚時には『なんでこんなに面会時間があるのよ!』と思っていたし、木曜日に2時間だけ会ってバイバイしなければいけないことを3~4歳の子供が理解できず、お父さんといたい!とギャン泣きされて、自分も泣きながら『なんでこんなルールあるのよ!』と辛い思いをしたことが何度もあります。

 

結果的に、私たちは木曜日の面会はなくしたのですが、娘は1週間おきに週末は必ず父親に会っています。

 

ハッキリ言って始めは本当にこの面会が嫌でした。今でも私と元夫は犬猿の仲です。もしも離婚時に『お母さんの気分次第で面会日を決められる』となっていたら、当時の気持ち的に『面会は月一ならOK』と言ってしまうと思います。

 

でもそんな親の気持ちは完全に無視して『子供にとって利益がある』面会ルールに従え、というアメリカの法律は、最初は乱暴に感じるけど何年かたって理解できるようになるものなんですね。

 

今私の娘は私のことも父親のことも大好きです。性格も明るいし愛情表現もするし、学校の成績もよい方。家族が揃ってない寂しさは当然感じているし、つらい思いもしているはずですが、基本的に元気な子です。

 

決定権が双方にあること

Joint Custodyで問題になる可能性があるな、と思うのは『決定権が双方にあること』です。学校やかかりつけの医者など子供に大きな影響を与える決定権は父と母の両方にあります。

これは私の場合は元夫がここに関しては引いてくれているため大きな問題はないですが、意見が合わない場合、これはつらいなと思います。

 

その他には、子供の学校の成績などの記録、医者にかかった記録など、子供に関する情報はアクセスする権利が双方にあり、学校のイベントなどにも参加可能です。

 

ただ、離婚した二人が学校の参観日に鉢合わせするのはやっぱり気まずいですね。。

 

娘がプリスクールの時には、スクールイベントに全て参加した私と元夫はそのたびに鉢合わせし、教室内で離れて我が子を撮影する私たちの間にはとても微妙な空気が流れていました。ただ、父と母が毎回イベント参加してくれたのは娘だけだったため(笑)子供にとってはとても嬉しかったようです。

 

今も学校行事にはお互いできるだけ参加しているため、子供にとってはとても良い環境だと思います。

 

シングルマザーとして生きるなら日本とアメリカどっちがいいのか

どっちかを選ぶのはとっても難しい選択かも、です。

私にとっては、家族友人のいる日本の方がサポートも受けられるし精神的にも楽です。

が、娘はパパもママも大好きで元気でいてくれるしアメリカが良いのかも。

養育費はアメリカの方が断然良いし、アメリカの学校もとても良いところです。全般的な住みやすさはあまり変わりません。

 

でも結局自分が住みやすいかどうかではなく、子供が心身ともに健康に育ってくれるかどうかが一番大切なので、子供次第ですね。

 

アメリカで、円満ではない離婚をしたことでアメリカの離婚の現実を知り、日米の大きな違いを知ることができたのですが、日本は子供に対してもう少し優しい国になってほしいなと思います。

 

※記事内の内容は私の実体験をもとにテキサス州の法律、各弁護士サイトからの情報を参考にさせていただき執筆したものです。法律に関しては良く調べて専門家にご相談ください。

 

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