テラスハウスの木村花さんのネットいじめで思う日本の未来。アメリカと日本のネットいじめ対応を比較

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アメリカでも人気のテラスハウスに出演していた木村花さんが亡くなったことはアメリカでもネットニュースになっています。

第一発見者が母親の木村響子さんだったと知って、同じ親として涙が出ました。自分のことに置き換えたらたまらない気持ちになりますね。

インターネットのネット(サイバー)いじめ(cyberbullying)はアメリカでもかなり前から問題になってますが、今回の件で今後日本ももっと本気でこのサイバーいじめに対応しないとまた同じことが起きると思います。

今回はアメリカの例を参考に、日本でのネットいじめに対する現在の対応と比べてみたいと思います。

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テラスハウス出演者の木村花さんはなぜ死ななくてはいけなかったのか

海外からも評価されている日本のリアリティー番組『テラスハウス』出演者の女子プロレスラー、木村花さんがネットいじめが原因で命を絶ったのはかなり衝撃的でした。

 

命よりも大切にしているというプロレスのコスチュームを洗濯機に入れっぱなしにしてしまったことが事の発端。それを共演者に洗濯され、乾燥機で縮んでしまったことから共演者を激しく攻める花さんに誹謗中傷が集まってしまったことが原因でしたが…。

 

本当のことはわからないですが、リアリティー番組である以上は台本がないといっても演出は必ずあるはず。例えばウソの情報を他の共演者に伝えてケンカ勃発させたり、問題が起きやすいようにわざと家の中を不便にしておくとか。

 

 

『物議を醸した京都旅行とコスチューム事件』と4月7日にアップされたテラスハウスYouTube動画の説明欄に書いてありますが、物議を醸すのが狙いだったなら、誹謗中傷を受けたときにどう出演者を守るかという準備はあったんでしょうか…。

 

 

木村花さんがとっても真面目な性格で、言われた通りに番組を盛り上げたのに、誹謗中傷があっても放置されてたら追い詰められてしまうのは当然。

 

誹謗中傷があろうが、花さんを大好きだという人もたくさんいるし、普通はそれだけあれば死ぬことをためらうはず…。

 

ただ、若い人って考える前に行動しちゃうんですよね…。これは脳の構造がそうなっているんだそうですが…。

 

万が一今回のが全くの演出なしのリアルだったとして、花さんの『言葉遣い』や『態度』が行き過ぎてたとしても、誰だって若い時に言い過ぎちゃった経験とかありますよね。で、後から反省したり、『カッとなって怒っちゃったけど私も悪かった、ごめんね』って思ったり。そう思っても素直になれないことだってあります。

 

でも今回は番組で放送されただけに、一時の感情で口走ってしまったことだけが集中攻撃され、本人がよく考えたり反省するとかいう以前に事態が最悪な方向に向かっちゃったんじゃないかって思ったりします。

 

 

今回サイバーいじめで思い出したのが『若い人が考える間に行動しちゃう』ことに気づき、それを逆手にとっていじめをなくそうと行動を起こした13歳のアメリカ人の女の子。

 

(https://socialmediadna.org)

これは後述してますが、シンプルで凄いアイデアです。

 

 

私は日本でもこういう『ネットいじめ撲滅』の行動をもっともっと積極的にしていくべきだと思います。今後ネットいじめ問題はもっと深刻になっていくんじゃないでしょうか。

 

アメリカと日本のリアリティーTVショーの違い

(https://www.tvguide.com)

 

アメリカは意外にもリアリティーTV後進国らしいですが、ヒット番組が出て以来一気に増えていきました。

 

 

私が初めて見た恋愛リアリティーTVは、オーストラリアに住んでいたかな~り昔だったんですが『Big Brother』という番組でした。

 

1999年にオランダで放送開始されてからものすごい人気となり、世界各地でシリーズ化された番組です。

 

十数人の男女を3ヶ月生活させ、彼らの生活を 喧嘩・セックス・互いの脱落させ愛に至るまでの全てを放送するリアリティ番組(ウィキペディア)

 

ってことで、初めて観た時はかなり過激で衝撃的でした。『日本じゃ絶対にありえないな』と思ったのを覚えてます。そんなこともあって興味本位で観てたんですが、その後アメリカのリアリティーTVを見始めてからは、どれも過激でぶっとんでいるものばかりで、ケンカや暴言、軽い暴力なんかはよくあることだったため見慣れてしまってました。汗

 

 

アメリカではリアリティーTVショーという『台本のない番組』や『素人による出演』は1940年代に始まったそうです。2000年以降に Survivor、Idols、Big Brotherなどのヒットがあってから、次々にいろんなリアリティーTVが誕生しているので、ちょっとしたドラマ(ごたごた)くらいじゃあ視聴者もつまらなく感じているんじゃないかとさえ思います。

 

ただ、リアリティーTVショーの中には台本ややらせがあることが判明してるものも…。

 

 

一方で日本はプライベートをさらけ出す文化じゃないので海外のリアリティーショーそのままのフォーマットでは強烈過ぎて受け入れられず、日本人にあった独特のスタイルに変化させているのだそうです。

 

今回のテラスハウスも海外メディアから評価されていますが、その理由が

 

 


『リアリティーショーなのに日本人の若者たちはとても礼儀正しい』

『ケンカじゃなく話し合いで解決している』

 

ということなので、アメリカと真逆の反応をする日本の若者たちが新鮮に映っているんでしょうね。

確かにアメリカでケンカといったら、女子同士が髪の毛つかみ合い、殴り合い、なんて修羅場ですが、日本でケンカといえば暴言吐いて立ち去るとかくらいです。

 

この辺はやらせにしても程度の差はかなりあります。

 

いろんな種類のリアリティーTVがある中で、やっぱり人気があるのは恋愛系リアリティーTV。

 

『ねるとん紅鯨団』(かなり懐かしい)『あいのり』『未来日記』など恋愛ならどんな世代でも自分に当てはめやすいですよね。でもどれも『過激』さはありません。むしろほのぼの系の恋愛ばかりです。

 

https://glamour.com

アメリカのリアリティーTVと日本のリアリティーTVの大きな違いは、過激さ。アメリカは言葉遣いも汚いし(ピーだらけで放送するとか)何でもアリっていうほど見せてます。

 

 

例えば『Jersey shore』『Are you the one?』 「The Bachelor」とかは、大人用とわかっていても強烈過ぎてこれ放送していいの?というレベルの内容。The Bachelorは実はやらせだったとわかってますが、ボーナスをもらえるから、という理由でカメラの前でケンカやポロリできちゃう人が結構いるのがすごすぎます。

 

 

 

アメリカではそもそもの破廉恥レベルがものすごいので当然出演者に対するアンチやヘイターからのバッシングもあるだろうけど、そんなの気にする人たちじゃなさそうに見えます。(そのくらいハートの強い人が集まってる印象)

 

 

とはいえアメリカでも過去にリアリティTVの影響で亡くなった人もいるそうです。ただ、理由はいろいろで、事故やOverdose、他殺など。TVで目立って華やかな生活をしていたのに番組卒業して平凡な毎日に戻り鬱になって自死というパターンもあるようです。

 

 

一方で、海外に比べほのぼの系の日本のリアリティーショーはちょっと過激な発言や行動をすると極度のバッシングを受けちゃう感じがします。しかもターゲットになるような過激発言や行動をする人が少ないから目立つし、言われる本人もバッシング慣れしていない場合が多いから、周りが想像するよりずっと傷ついちゃって、消化できずにいる…。

 

そして演出が段々過激になっていく一方で、出演者の心身のケアは追いついていなかったのかもしれません。

 

花さんはプロレス仲間が精神的に強くない子だと話していたこともあり、もしかして新型コロナで各自が家に引きこもっていた状況も、花さんを追い詰めてしまったのかな…。

 

 

リアリティーTVがいろんな問題を抱えているのは置いておいて、YouTube進出やインスタのインフルエンサーがもっと増えればネットいじめの問題が深刻になっていきます。そもそもこのネットいじめの対応にももっと力をいれていくべきじゃないかなと思います。

 

ネットいじめに対する日本の対応

総務省のデータによると

県内の公立学校の児童生徒がSNSを利用する上で、誹 謗中傷等のいじめに該当する行為を行わないよう指導することなどを 目的として、SNSを利用する際のルールを策定

 

したり

 

PTA、警察、事業者等で構成される「インターネット等に よるいじめ対策会議」を設置

 

したり、学校で第三者が閲覧困難なSNSを利用したいじめに関する 調査項目を設けてアンケートをしたりなどの対策をしているとのことですが、じゃあ大人は??

ネットいじめは大人も全て対象になります。

 

 

こちらの弁護士事務所のサイトによると、基本的に大人の場合は自分から行動しなくてはいけません。(当然かもですが)

 

ブログもYouTubeもインスタグラムも、悪意あるコメントは削除したり、コメント欄閉鎖したりできますが、でもその前に読んじゃうわけですよね。削除しようが傷つくのは変わりません。

 

警察に連絡したりもできるとのことですが、今回の件はTVの出演者なので、誹謗中傷が人命に関わるかどうかの判断って難しいんじゃないでしょうか。人命に関わらなきゃ動いてもらえないようなので…。

 

上記のサイトに、誹謗中傷の投稿者はどんな罪になるのか書かれてますが、例えば今回の件が”事実を摘示せず、『バカ』『ブス』など公然と人を侮辱すると問われる”『侮辱罪』に当たるとしたら罰則は「拘留」または「科料」とのこと。

拘留は

「1日以上30日未満」の一定期間,刑事施設に収監するというもの (参考

科料は

日本の科料は1,000円以上1万円未満(つまり9,999円以下)の金銭を強制的に徴収する財産刑 (wikipedia)

 

刑が軽すぎないですかね。。軽犯罪かもしれないけど、ネットの侮辱ってかなり精神ダメージが大きいし。拘留は嫌だけど1万円払う痛みなんかないのと同じ。

 

Yahooの記事

 

今回は木村花さんが亡くなってしまったので、遺族が開示請求することができるが、その場合、名誉棄損等を理由にするのは難しく『敬愛追慕の情』の侵害を理由に開示請求できる

 

 

とあったので木村花さんの件は、敬愛追慕の情の侵害を理由に開示請求となるみたいですね。

 

でももし花さんが亡くなってなかった場合は、誹謗中傷の書き込みは「即座に保存して証拠を確保」することが大事だったそうです。(もしかしてスクショしている一般人たちがいるかもしれないですね)

 

そうすれば、書き込みした本人がアカウント削除してもアクセスログが保存されている期間内に開示請求すれば投稿者の特定ができる可能性があるそうです。

 

 

 

どっちにしても、花さんのSNSが炎上したのはつい最近で、誹謗中傷が殺到した期間も短く、その間に追い詰められてしまったので、コメントしている不特定多数のネット民を名誉棄損で訴えよう、なんて考えにはなりにくいんじゃないかと思いますが…。

 

 

そもそもネットから誹謗中傷をなくすのは不可能なんだから、周りがケアするしか方法がないですよね。本人から助けを求める場合もあれば、一人で抱え込む人もいるんだから、番組がきっかけで誹謗中傷の対象になったなら番組スタッフが絶対フォローしなきゃいけないと思うんですが、、、どのくらいケアしてたのかわからないけど、まさか『そこまで追い詰められてるとは知らなかった』なんて思ってないことを祈りたいです。。。

 

 

ちなみに私もYouTubeチャンネル開始時には、意地悪コメントたーくさんもらいました。始めは凹んで、そのうち慣れて(苦笑)チャンネルが大きくなったらアンチコメントは激減してました。

 

YouTubeチャンネル教えてって聞かれることもありますが、私は家族や昔からの友達以外絶対教える気はありません。ネットって怖いから…。

 

アメリカのYoutuberの中にも、顔出ししてて誹謗中傷にあって、辞めた人とか、アンチコメントは即削除するっていう人などいろいろいます。

 

ネットいじめは深刻な問題だけど、日本では学生たちへの対応は進んでるけど大人たちへの対応はまだあまり進んでないんじゃないでしょうか。

ネットいじめに対するアメリカの対応

まず一番違うと感じるのはアメリカの場合いじめを受けたり精神的ダメージを受けている人たちがどこに相談すればいいのかすぐにわかるようになっているところです。

 

例えば、日本で『ネットいじめ』と検索するとウィキペディアが検索結果1件目に出てきます。


 

でも英語で『cyberbullying』と検索するとアメリカ政府による、『GET HELP NOW stopbullying.gov(今すぐ相談しましょう)』という状況別にどこに連絡したらいいのか連絡先やリンクが書かれたサイトが1件目にヒットします。(発音も出てきてますが)

 


 

 

 

日本も助けを求める『連絡先』を一番にしてよ!!!って思いませんか??

 

次に『自殺願望』と検索すると現時点で『希死念慮・自殺願望・死にたい気持ちへの対処法』という記事が1件目にヒットしますが、最後は『精神科を受診しましょう』で終わってます。

 

 

ハッキリ言って自殺願望で検索する人には自分から精神科を調べて出向いて治そうという気持ちさえ失ってる人が多いと思います。この文章を読んで自分の悩みが解決することはありません。

 

これを『suicidal thought』と英語で検索すると、超デカデカと相談先の電話番号が出てくるんです。

 


 

日本もこのくらいして欲しいと思うのは私だけでしょうか。

 

こんなに存在感あると『あなたはここに電話する必要があるからすぐ電話しなさい!!』と言われてる感じがするし、危機的状況をわかってくれてる気持ちになります。

 

この連絡先があるだけでも、もうヤバい…という人にとっては救いになるんじゃないかと思います。

 

どこに相談すればいいのかわからない、家族・友人には言えない、という場合もあるかと思うので。

13歳が考えたネットいじめをやめさせるアプリ

トリーシャ・プラブさんというなんと当時13歳だった女の子がSNSからいじめをなくそうと開発を始めたのが『ReThink』というアプリ。

 

これはスマホ向けアプリで、攻撃的な文章を入力しSNSに投稿しようとすると、「このメッセージは他人を傷つける可能性があるけど本当に送信するの?」というメッセージが現れるアプリです。

(bustle.com)

 

このアプリ開発のきっかけは、米国フロリダ州在住の 12歳の少女レベッカ・セドウィックさんが12人からネットいじめに遭い自殺してしまったことなんだそう。

 

トリーシャさんは10歳の頃、叔母を車の事故で亡くしてしまい、ひどくショックを受けました。その時、サイエンスが大好きなトリーシャさんは学校のサイエンスプロジェクトで人間の脳について学び、ドライバーの気をそらすものがあったときとない時の反応の時間差を調べたそうです。

 

そんなこともあり、13歳の頃にレベッカさんのニュースを知って再び人間の脳ミソについて調べたところ、脳の前頭前皮質が完全に発達するのは25歳くらいであることがわかりました。

 

前頭前皮質の働きはウィキペディアによると

対立する考えを区別する能力の他、現在の行動によってどのような未来の結果が生じるかを決定する能力、確定したゴールへの行動、成果の予測、行動に基づく期待、社会的な”コントロール” (もし行ってしまったら、社会的に容認できないような結果を引き起こすような衝動を抑制する能力)に関係している。

 

とのこと。

 

つまり、成果の予測ができない状態で行動してしまうんです。考える前に行動しちゃう、ということ。

 

思ったらすぐに書き込んでしまう、という行動を止めるために『よく考えて、本当にいいの?』と考える時間を与えて攻撃的な行動を抑えようとするのがこのアプリです。

 

これから増えるネットいじめにどう対処する?

木村花さんの件でSNSの誹謗中傷が問題になってますが、名誉棄損とか開示請求とかでどうこう議論する以前に、もっと大事なのは、ネットいじめを少しでも減らすことと、それによって受ける精神的ダメージをできるだけ少なくする、受けてしまった後のメンタルケア、の方じゃないかと思います。

 

 

インターネットがなくてはならない時代になっただけじゃなく、10代でもスマホでいつでも簡単にネットやSNSができる時代になっています。それが今後はもっと当たり前になっていきます。

 

今の子供たちが大人になるころにはFacebookやインスタ、ツイッター、LINE、YouTube(アメリカはもっとありますが)だけじゃなく、もっといろんなプラットフォームができていると思います。

 

ネットのいじめは
  • 法律や刑罰が極端に厳しくなる
  • 実名でしかコメント書き込めなくなる
  • いじめを想像させる特定のワードは自動的にはじかれるようになる
なんかの思い切った対策がない限り、増える一方じゃないでしょうか。

 

しかもネットの世界の動きって早いので、今すぐ対処しないともっと犠牲者が出てしまうんじゃないかと思います。

 

今回花さんに誹謗中傷の書き込みした人たちは、光のごとく投稿削除して逃げようとしているようですが、しっかり自分のしたことの責任を取ってもらいたいものです。

 

木村花さんのご冥福をお祈りします。

 

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