アナと雪の女王2が大ヒット作『トイストーリー4』の記録を超えて公開10日目での興収40億円突破というディズニーアニメーション最短記録となっています。そんな世界中で大人気のアナ雪2ですが、国内ではつまらないという口コミも。米国内では、大人も楽しめると評価されています。今回は大人こそアナ雪2を観た方が良い!5つの理由を紹介します。
続編までに6年もかかった理由

前作アナ雪が公開されたのは2013年。でも多くの人が『前作って2年くらい前に感じる』というほどアナ雪の人気は衰えないままです。ただ、ほとんどの人が続編ができるとは思っていなかったのではないでしょうか。
実際にアナ雪の続編を作ろう、となったのは前作公開1年後ということで、もともと続編を作ることを前提に作られた映画ではありませんでした。
アナ雪2の制作には約70名のアニメーターが関わり、全部で約100名のメンバーで4年ほどかけて作られたのだそうです。

アナ雪からアナ雪2の公開までの間には他のディズニーアニメーションが公開されています。その間でアニメーションのスキルはさらに上がっていったため、今回のアナ雪2では『映像が綺麗』という声が多く上がっています。
今回のアナ雪2は新しいストーリーであり、テーマも変更があったりということで、それに合わせてキャラクターの変化をつけていかなくてはいけなかったとのこと。
前作はもちろんゼロから作られたキャラクターたちですが、今回は3年後のキャラクター。20代前半のキャラクターたちの微妙な変化を探すのも面白いのではないかと思います。
ポイント1:キャラクターの変化に注目

前作ではエルサは21歳。アナは18歳。そしてクリストフは21歳でした。
エルサとクリストフが同じ年だったんですね。
6年経ったからエルサは27歳かというと、、、そうではなくアナ雪2のエルサは24歳。

ということはアナは21歳。24歳のクリストフと婚約したということになりますね。
エルサとアナの髪型の変化

エルサは三つ編みをほどいたストレートのヘアに。アナは前回のおさげ頭から両サイドで編み込んだ髪を後ろでクロスさせたお嬢様風の大人っぽい髪型に変化。
その髪型はもちろん、髪の毛の描き方もとても細かくなっています。

この髪の毛は映画『Moana(モアナ)』のモアナの髪の毛を描く際に使われたソフト『Quicksilver』を使ったのだそう。これによって風に吹かれたとき、水に濡れた時などにリアルな髪の毛を再現することが可能に。
とはいってもモアナの髪質は量がとても多い巻き髪で丈夫そうなのに対してアナの髪質は柔らかく細いと正反対。そのため、『Beast』というソフトを使用してこのアナのヘアの繊細な動きを付けることができたのだとか。
衣装がより細かく描かれている
前回の衣装とアナ雪2の衣装を比べてみた時、エルサもアナもカラーやデザインがあまり変わっていないようなイメージがありますが、実はよく見るとアナ雪2はものすごくディテールが描かれています。
アナ雪では氷の城にいるエルサはブルーグリーンのロングドレス。キラキラ輝いたキレイなドレスではあるけれど、細かい部分はわかりません。
一方アナ雪2では、エルサはブルーのドレスではあるものの、デザインがより細かくなっているうえに、ラインストーンのような石の刺繍が全身に施されています。

さらに、その石の大きさも形もバラバラ。それだけでなく、まるで実物を見ているかのように、スティッチまでがきちんと描かれているのです。これは凄すぎる!
そしてアナの衣装も、ベルベッドのようなフェルトのような質感の生地に立体感のある細かなデザインが見事に描かれています。

このため、『まるで実写版をアニメ風に編集したかのよう』な仕上がりに。
ポイント2:動きがより細かく、よりリアルになっている

アナ雪2の予告編で既に『動きがとってもリアルだな』と感じた人は多いのではないでしょうか。
なんとキャラクターの指1本1本に対して3~4つの動きが出るようになっているのです。
エルサがダークシーに向かって走ろうと砂利を踏みしめるシーンでは、足の指の動きがものすごくリアルに表現されていて力の込め具合まで伝わってくるようでした。

前作のアナ雪では、ここまで緊迫したシーンがなかったこともあるかと思いますが、今回は自然(森の4つの精霊)がメインとなり、さらにそれぞれがキャラクターとなっているためこういった微妙な動きはとても重要になってくるのではないかと思います。
ここだけを注目しても、アニメーターの努力や現在のアニメーションのレベルを知ることができて面白いのではないでしょうか。
ポイント3:『自然』をどうキャラクター化したのかに注目
アニメーションに加わる風の動きなどは、制作過程の最後に追加するものですが、今回は自然は『キャラクター』になっているため、メインの一つ。風の精ゲイルの場合

そこで『Swoop』というプログラムを使い、風の精『ゲイル』の動きを表現しています。
風は目に見えるものではなく、私たちは木の葉の揺れや枯葉の動きなど、風によって動くものを見ることで風の存在を知ります。
この目に見えない存在をキャラクターにするのはとても大変だったはず。
デザインのある過程では、ゲイルはオラフなど他のキャラクターの形を真似るキャラであったのだそう。

そしてアニメーターたちはこの『ゲイル』のキャラクターを、いたずら好きにするか、危険な風にするのか決めなくてはいけませんでした。
そこで、インスピレーションを受けるためにアニメーターたちは実際にスカイダイビング体験をして風の動きを体感したのだそう。

この動きは、火の精サラマンダーが風にあおられて宙に浮かぶ様子がスカイダイビングの格好になっていることにも表れています。
大地の精霊アースジャイアントの場合

4つの精霊たちはサイズもバラバラですが、一番大きなキャラクターがこのアースジャイアント。巨大なアースジャイアントは動きもそのサイズに合うようなゆっくりとして動きになっています。
このアースジャイアントは前作から出ているトロールたちを参考に作られたのだそう。

確かに鼻の大きさや雰囲気などが似ていますね。
始めはしっかりと顔があったようですね。
最終的には巨大な岩の姿になって、これが一番しっくりくるような気がします。
アースジャイアントはその大きさから動きをつけるのはかなり困難だったようです。
水の精ノックの場合

予告編に出てきて『なんだろう』となったのがこの水の精ノック。馬の形をしているので不思議な存在だったのですが、このノックの誕生にはアニメーターはとても苦労したようで、なんと8か月もかかって誕生しました。
水の精ノックは馬の形ですが、水であるため瞳は水色で表現されています。
このため、表情をつけたり感情を表したりするのが難しくなってしまいます。
そこで、アニメーターは耳の動きによって感情を表すことにしたのだそうです。

ノックの耳がエルサに対して後ろ側に立っている時は『怒り』を、そして馬に乗ったエルサの方に耳が向いている時は『敬意』を示しています。
ノックは馬の形をしていますが、水の精霊。水に溶け込んでいなければいけません。
でも実際に試してみると水にぬれた馬のたてがみやしっぽからは予想以上に大量の水がしたたりおちてきたのだそう。

それをできるだけ自然かつ控えめに表現することに。
『水でできた馬が水の上を走る』という場面で、いかに馬と海が馴染んで違和感のないようにするかは映画を観ている私たちの想像をはるかに超える努力がなされているのではないでしょうか。

ノックが海を走る場面では、たなびくたてがみ、揺れるしっぽの先からは霧のような水が飛び散り、足の先は水と一体化しています。
そして、暴れるノックをエルサがコントロールする場面では、リアルな馬そのもののように馬の大きさや重さまでが感じられます。
この馬の動きを表現するためにアニメーターたちは実際に馬を見に行き、トレーナーの指導や実際に乗馬をして、馬の動きを細かく観察したのです。
ポイント4:前作では見られなかったアレンデール城の詳細に注目

前作のアナ雪では、真冬の設定で大雪が降る場面も多かったため、地面はほとんど雪に覆われていました。そのため、アレンデール城の詳細はもちろん、町の様子もあまり印象にないのではないでしょうか。
ところが今回のアナ雪2は設定が『秋』。
そのため、雪は解けているので、前回には描かれなかった地面や屋根、景色などの詳細が新しく追加されることになりました。この部分に注目するとアレンデールの町がよりよくわかって面白いのではないでしょうか。

また、今回は『魔法の森』が出てくるため、木々の様子や落ちている木の葉など、すべてを詳細に描く必要があります。
このために、制作チームは実際にノルウェーやフィンランド、アイスランドを訪れ、その景色からインスピレーションを受けたのだそう。

そのため、このアナ雪2で見られる景色はヨーロッパの風景の一部なんだな、というように観ても興味深いですね。
また、映画の始めの方ではエルサが自分が作り出した氷の上に立つ場面があります。これもアニメーターたちは実際に氷河の上に立ってみて体感したのだそうです。

また、『秋』の設定、というのは紅葉する木々の様子ですぐにわかりますが、日本の紅葉を思い出しても秋は『赤』『黄色』『オレンジ』といった鮮やかな色のイメージです。
ところがアナ雪2のストーリーはミステリアスでシリアスな場面も多く、魔法の森は外の世界とは隔離されている孤独な世界。

あまりにも鮮やかなカラーを使っていてはそれを表現できないため、赤やオレンジがメインで黄色はほぼ使われていません。
また、『孤独』を表現するため、例えばエルサ、アナ、クリストフ、オラフが霧に包まれた森に入っていくとき、オラフが森の中で一人迷ってしまった場面など、景色が大きく広がる中に小さなキャラクターが描かれています。
ポイント5:アナ雪2の映像のキレイさはモアナからきている

エルサやアナのリアルな髪の毛を描くのに、モアナの髪を描いたソフトが使われていたこと、水の精、海に感情をもたせる場面では、同じく感情を持つ水が表現されていたモアナ。
今回のアナ雪2で特に撮影したのではないかと思うほどリアルだったのは、ダークシーではないでしょうか。
エルサが気合をいれてダークシーに走り出す場面では、砂利が細かく描かれているのはもちろん、水に濡れた箇所の砂利が、濡れていない砂利とは違って描かれるなどかなり細かい部分まで丁寧に作られています。

そして波打ち際やしぶきの様子など、とても映像が綺麗です。
これは『史上最も滑らかな動画プレイヤー』と言われる『Splash』が使われているとのことですが、それでもわざと『リアルすぎ』にならないように控えめにされているのです。
それはあくまでも『映画』の世界と『現実』の世界をわけるため。
モアナでは『波を落ち着かせる』のに対して、アナ雪2では『海を荒立てる』と正反対です。アナ雪2は大波でパワフル。
正反対とはいっても、アナ雪とアナ雪2の間に制作されたモアナの技術がアナ雪2に大きく影響しているようです。

映像はリアルであっても実際には起きないであろう非現実的な世界感であるからこそ楽しめるのではないでしょうか。
アナ雪&アナ雪2が見られる
アナ雪2は『映像がきれいだけどつまらない』という人は、約70名のアニメーターが試行錯誤しながら作り上げたこのアニメーションの映像を思い切り楽しんでみてはいかがでしょうか。
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